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最高裁判所第三小法廷 平成4年(オ)1526号 判決

上告人

山内良浩

右訴訟代理人弁護士

別紙上告代理人目録記載のとおり

竹内平

水野幹男

岡村親宜

(他三一名)

被上告人

右代表者法務大臣

長尾立子

右指定代理人

白井成彦

右当事者間の名古屋高等裁判所平成元年(ネ)第六〇四号、同二年(ネ)第四二八号地位確認請求控訴、同附帯控訴事件について、同裁判所が平成四年三月一七日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人竹内平、同水野幹男、同渥美玲子、同安藤巌、同荻原剛、同竹内浩史、同西尾弘美、同長谷川一裕、同平松清志、同荻原典子、同加藤洪太郎、同佐久間信司、同北村栄、同田原裕之、同田中雪美、同恒川雅光、同中谷雄二、同原山恵子、同原山剛三、同福井悦子、同藤井浩一、同前田義博、同三宅信幸、同若松英成、同森山文昭、同松本篤周、同渥美雅康、同加藤美代、同市川博久、同岡村親宜、同川人博、同上柳敏郎、同大森秀昭、同玉木一成の上告理由について

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。そして、右事実関係によれば、山内治一(死亡当時五〇歳)は、約九年前から本態性高血圧症が続き、健康管理医によって、月一回は診察を受けて治療及び日常生活上の指導を受けるように指示されていたにもかかわらず、これを遵守せず、食事・運動療法もしないなど必要な血圧コントロールを怠ったため、死亡一〇日前の検査では、最高血圧一九一及び最低血圧一二一と記録されるに至ったというのであり、他方、同人は、郵便局郵便課副課長の地位にある管理職で、平常日は二時間の超過勤務が常態となっており、死亡の五日前には休日出勤しているなどの事情があるものの、その業務内容には、肉体的、精神的に過重労働と認め得るようなものはなかったというのである。そうであれば、山内の死因である脳出血は、血圧のコントロール不良による高血圧症の増悪に起因するものであり、公務に起因することの明らかな疾病に該当するとは認められないとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審の認定しない事実に基づき、若しくは独自の見解に立って原判決を論難するものに帰し、採用することができない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 千種秀夫 裁判官 園部逸夫 裁判官 可部恒雄 裁判官 大野正男 裁判官 尾崎行信)

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